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「いまから、どんな人生にしたいですか?」十二因縁

お釈迦さまは、いまから二千五百年前、インドのブッダガヤで、永遠不滅(ふめつ)の真理を悟られました。この悟られた真理の根本となる教えが『縁起』『三法印(さんぽういん)』『八正道(はっしょうどう)』『六波羅蜜(ろくはらみつ)』など、根本仏教といわれるものです。

お釈迦さまの教えは、いつでも、どこでも、誰にでも当てはまるものであり、教えを日常生活に生かしていけば、毎日を前向きに生きることができ、私たちをより幸せな人生へと導いてくれます。

人は、どのようにしたら、よりよい生き方ができるでしょうか。

十二因縁とは

過去、現在、未来の三世に渡るすべての物事は一定の法則に基づき変化しています。その一定の法則が『十二因縁』です。その、十二の段階とは、「無明(むみょう)」「(ぎょう)」「(しき)」「名色(みょうしき)」「六入(ろくにゅう)」「(そく)」「(じゅ)」「(あい)」「(しゅ)」「()」「(しょう)」「老死(ろうし)」です。

私たちの身体の成長は両親の夫婦生活を通して母親の胎内に生命が宿り、十月十日の歳月をかけて成長していきます。その際、眼・耳・鼻・舌・身・意の働きも身につけていきます。誕生してからはその人の食生活や生活環境によって身長や体重もそれに準じて変化し、その人の容姿や体形も徐々に形成されていきます。時には病にかかり、やがて年を老いて、生あるものは必ず死を迎えます。

また、身体の成長に伴い、心も成長し変化をしていきます。まだ物心がつかない幼い時から、だんだんと物事に対して好き嫌いの感情が生まれ、そして自分本位に考える知恵がついていきます。

相手に優しくしたり思いやりの心を抱かずに、そのまま自分本位に考え成長していくのならば、物事に対して必要以上に執着をし、自らの主張を押し通すことで対立を生み、思い通りにならない苦しみを感じるようになるのです。

現在の私の肉体や容姿、性格や習慣などは過去からの積み重ねによって醸成されたものです。そして、今の私の生き方が未来をつくり上げていきます。

十二因縁の活用


図にある通り、例えば友人とケンカをしてしまったとします。

ケンカをしてしまったという事実を、今の自分がどう対処するかによって、自分の未来が変わってきます。

ケンカをした時の自分の心は、どんな感情が湧いているでしょうか。

自分も悪い事をしてしまったと反省する心。自分からなんて謝りたくないと思う心。許せない心。もういいやと冷めた心。素直に謝ることができればまた楽しく話せるのにな、と後悔する心。きっと、たくさんの心を持った自分がいるはずです。

その心の、どれを発揮していくのかが、明日の自分、もっと大きく言えば、未来の自分を決めていきます。 未来の自分に、イライラして相手を責めるような感情を残したいですか?それとも、仲直りしてまた楽しい時間を残したいですか?

その時に、今湧き上がっている感情を、押し殺して、謝ればいいというわけではありません。その湧いた感情を、大切に見つめてみる。 「こうあるべきだ」「自分は正しい」「なぜ思うようにしてくれないのか」という心だけにとらわれていては、苦しいばかりです。その心の奥には、「仲良くしたい」「共感したい」「優しくありたい」などの本来の自分の心が必ずあります。その想いに気づき、行動を変えようと努力していくことが、十二因縁を活用し、幸せに生きるコツです。

十二因縁の教えは、現在の苦しみ・悩みは過去の行いによるもの、そして現在の行い・生き方は、未来を変えるものです。目の前に出てきた“ケンカしちゃった”という現象に対して、努力していく行動が、未来を決めるのです。

まとめ

今の自分は過去の自分によってつくり出されています。だからといって「~しておけばよかった」「~しなければよかった」と自分の過去を否定するのではなく、その経験丸ごと受け止めることです。過去の自分の経験や出会い、すべてによって、「今」の私は存在しています。その中の悪い経験だけを否定してしまっては、とてもつらいです。それもひっくるめて、「私」なのです。否定ではなく、では次どうするか、を考えることができれば、きっと人生は明るくなります。

「今」の自分が取り組めるのは今しかありません。ありのままの「今」の自分で、未来に向けて、目の前に現れた出来事に対し、どう努力していくか。それが、私の未来をつくり出すのです。

1

明るい未来のために今日の努力を惜しまない

2

言うは易く行うは難し

3

よいことを真心こめて繰り返す

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