人さまに喜んでもらえることを

お釈迦さまの
説いた教え
リターンズ

人さまに喜んでもらえることを

話し手：東京教区（青年担当）
遠藤　貴士さん

お釈迦(しゃか)さまの弟子(でし)の一人(ひとり)・阿那(あな)律(りつ)は、夜(よる)も眠(ねむ)らないという厳(きび)しい修行(しゅぎょう)のため、視力(しりょく)を失(うしな)ってしまったといわれています。
その阿那(あな)律(りつ)が、自分(じぶん)の衣(ころも)のほころびをつくろおうとしたときのことです。
何度(なんど)、針(はり)の穴(あな)に糸(いと)を通(とお)そうとしても通(とお)すことができず、つい「*功徳(くどく)を積(つ)みたい人(ひと)がいたら、針(はり)の穴(あな)に糸(いと)を通(とお)してくれませんか」という言葉(ことば)が口(くち)からこぼれてしまいました。
すると「私(わたし)に通(とお)させてください」という、やさしい声(こえ)が聞(き)こえてくるではありませんか。
阿那(あな)律(りつ)は自分(じぶん)の耳(みみ)を疑(うたが)いました。その声(こえ)は、まさしくお釈迦(しゃか)さまの声(こえ)だったのです。阿那(あな)律(りつ)はびっくりして尋(たず)ねました。
「お釈迦(しゃか)さまは、すでにこの上(うえ)ない喜(よろこ)びを得(え)ているではありませんか？」
するとお釈迦(しゃか)さまは、静(しず)かにお答(こた)えになりました。
「目(め)の前(まえ)に困(こま)っている人(ひと)がいたら、無(む)条件(じょうけん)でその人(ひと)が望(のぞ)むことをしてさしあげたいのです。
私(わたし)ほど功徳(くどく)を積(つ)みたい人(ひと)はいないのです」