ささやかなことにもまごころこめて

お釈迦さまの
説いた教え
リターンズ

ささやかなことにもまごころこめて

話し手：中部教区（青年担当）
高橋　一彰さん

お釈迦(しゃか)さまが、ある町(まち)で教(おし)えを説(と)いたときのことです。
その町(まち)に住(す)む貧(まず)しい女(おんな)の人(ひと)が、〈お釈迦(しゃか)さまの教(おし)えを聞(き)かせていただくと、いつも心(こころ)が安(やす)らいでくる。今晩(こんばん)は、そのお礼(れい)がしたい〉と思(おも)いました。
そこで女(おんな)の人(ひと)は、大切(たいせつ)な髪(かみ)を切(き)り、それを売(う)ってわずかなお金(かね)をつくり、説法(せっぽう)の場(ば)を照(て)らすための灯(あか)りを買(か)ったのです。
説法(せっぽう)の場(ば)に行(い)くと、お釈迦(しゃか)さまの前(まえ)には、すでにたくさんの灯(あか)りが並(なら)んでいました。
女(おんな)の人(ひと)の灯(あか)りは、とても小(ちい)さくてみすぼらしいものでしたが、
「これがわたしにできる精(せい)いっぱいのまごころです。お釈迦(しゃか)さま、どうかお受(う)けとりください」
と言(い)ってお供(そな)えしたのです。
するとそのとき、突風(とっぷう)が吹(ふ)き次々(つぎつぎ)と灯(あか)りを消(け)してゆきました。
暗闇(くらやみ)が広(ひろ)がるにしたがって、人々(ひとびと)の心(こころ)は不安(ふあん)になります。
しかし、女(おんな)の人(ひと)が捧(ささ)げた灯(あか)りだけは消(き)えませんでした。
お釈迦(しゃか)さまはつぶやきました。
「たとえささやかであってもいい。どんなこともまごころでさせてもらうことが尊(とうと)いんだよ」